篠田信子の新森のテラスから

富良野の森に住み、自然や文化への想いをつれづれに

千秋楽を迎えた

「千秋楽」と言っても相撲ではなく、芝居「オンディーヌを求めて」の話。そうそう白鵬が63連勝でストップしてしまった・・・残念とホッ・・が入り混じる複雑な心境だが、彼は立派な横綱だと思う。

本題・・・富良野演劇工場は大入り満員!通路にもお客さんが入り大盛況。同じ料金で椅子の無い所に座っても文句が出ないのは、どうしても見たいという気持ちがあるからなんだろうな。
普通なら文句言いたくなるよね。
ずら〜と並んで会場を待つお客さんの顔、終演後の顔・・・どの顔もとても満足そうに見えた。遠くから来た方もずいぶん居るようだ。
この25000人弱の街で、年間に1か月のロングラン2本をはじめ、立て続けにある公演のために多くの人が劇場に足を運ぶ。
富良野で劇場に行く事が、特別な事ではなくなったように感じる。
劇場の場所は決して便利の良い所ではなく、まして雪が降り寒い季節、観光はオフシーズンで何もない時期に演劇を見る為に集まる風景は、私にとって胸がジーンとするほど感動する。
10数年前、倉本聰さんが大好きな言葉を教えてくれた。「街をあるいていたら倖せそうな顔に出逢った。彼は今日、良い芝居を観た帰りにちがいない。」ジャン・ジロドウの言葉らしいが、私もこの言葉がとても印象に残っていて、いつかこんな人が富良野を歩いていたら素敵だろうな〜・・と思いながら劇場に携わっていた。
終演後、観客も倉本さんもとても良い顔をしていた・・・芝居の話をしながら劇場を後にしている様子をみて、ふと「街を歩いていたら・・・・」の言葉を思い出し、文化に賭けた10数年の民間の努力が実りつつあるのだと感じた。
テラスより・・・今朝は、すっかり雪化粧した平地や山々に美しく朝日が輝いていた。