篠田信子の新森のテラスから

富良野の森に住み、自然や文化への想いをつれづれに

ライブの力、芸術の力に感動

平成20年夏、富良野メセナ協会の事業として、富良野駅前「ふらっと」で1か月間絵本作家の『あべ弘士の世界』を開催した。
ロビーにダンボールで衝立を作り、原画を飾り、あべ弘士さんのお話があり、子供たちと動物を作り・・・・それはそれは楽しい企画だった。その時の作品たちを今まで、富良野図書館に使ってもらっていたが、今回一旦引き取ることになった。
中でも思い出の作品は、あべさんが絵をかいてベストセラーになった絵本「あらしの夜に」を、1枚のコンパネにライブペイントをした時の絵だ。
会場に集まった観客の前で、森を描き、オオカミ一匹を描き・・・と話に合わせて、絵もどんどんん上に書き足されてゆく。最後は何十匹のオオカミが描かれただろう・・・・。
そしてクライマックスは・・・久林さんのギターで弾く津軽三味線に合わせて、雪がどんどん降り積もる・・・・どんどんオオカミが雪に消されてゆく・・・(正直、あ〜もったいない・・・とも思ったが)雪を描くたびに涙が出てきた。たった一匹残され、森を眺めていたオオカミが、最後の音楽に合わせて目を入れるとこちらを振り向いた。
雪の下にどれだけのドラマが書き込まれたであろう・・・。

お客さんは涙を流し、絵の迫力、音楽の迫力に感動した。ライブならではの鳥肌が立つ体験だった。
記録のために映像は撮ったが、あべさんは「現場に居なかった人には、伝わらないので見せない方がいいよ」と言っていたが、私もそう思う。
あの時に居合わせたから、今見ても感動が伝わってくる。幸せなことだ。
他の作品たちも、我が家の地下に一時預かりでた〜くさん引っ越し、今日最後の作品を搬入した。

まるで我が家の地下は「あべ弘士ワールド」だ。