篠田信子の新森のテラスから

富良野の森に住み、自然や文化への想いをつれづれに

「地域と演劇教育」フォーラム

富良野演劇工場で富良野青年会議所の55周年記念事業としてフォーラムがあった。
今回JCがこのテーマでフォーラムを開催したのは、富良野高校に単位制の演劇科を・・・・との機運があり(H25年には導入の見込み)開催したようだ。
基調講演で、石川県立東雲高校の酒井先生は、前任校で(能登の中島高校)生徒不足で閉校を余儀なくされていた高校に演劇科を新設し、生徒増につながった話をしていた。
能登は、仲代達也率いる「無名塾」が「能登演劇堂」で創作活動をし発信している有名な土地柄である。
はじめは行政主導だったが、劇場と地域と学校教育現場がガッチリ組んだ成功例だと思う。しかし演劇科を新設するに当たり奔走した酒井先生の御苦労は、並大抵ではないと感じたが「生徒の表情がどんどん変わるのを見ると、嬉しくてたまらない」と話されていた。
パネラーで参加した、兵庫県立宝塚北高校の谷口先生は公立高校で有一演劇科を持った高校の状況を話していた。有名な進学校に演劇科をもち、ほとんどが大学進学を果たしているという。
もう一人のパネラーの教育大学岩見沢校のミン準教授は、韓国の文化事情を話していたが、国家的戦略で人間形成に必要と「文化」に力を入れている様子は圧巻だった。また、演劇をする人は自己満足に陥ることなく、レベルアップする手段を考えなければならない。(他の舞台も観る、人の話を聴く、演劇以外の事も学ぶ・・・)。
文化財団理事長の磯田氏がコーディネーターを務め、とてもよい話の引き出し方とまとめをされていた。
パネラー各氏から感じたことは、
・「演劇」は目的ではなく、人間力・人間関係を磨く素材である。
・「演劇」が学校教育の中に入って、勉強の邪魔になる事は決してない。将来どの分野に進んでも必要になるものである。
・「演劇」推進しようとする人たちは、信じて(ぶれないで)進むこと。

富良野では、単に高校の間口減対策に・・・・と言うだけではなく、「必要だ」という機運が地域に、学校に起こってくることを切に願っている。
特に大事なのは、行動する事!人任せでは何も動かない。
我々、富良野メセナ協会でも特に力を入れている「アウトリーチ事業」(芸術家を学校や地域に派遣する事業)を、自身と誇りをもってコツコツやっていこう(^O^)/。
「演劇は、人間力を磨く素材として・・・!」これに尽きる。