篠田信子の新森のテラスから

富良野の森に住み、自然や文化への想いをつれづれに

美術館めぐり・・・その5

富良野近郊の美術館を紹介している。今回は・・・。
「新星館」 美瑛町新星の丘 ℡0166-95-2888
美瑛の美しい丘の上に突然古民家の美術館が現れる。私財を投じて約300年前の新潟の農家を移築した美術館は、梁の重厚さや各地の古い調度品を見るのも楽しい。


大島館長は、もともと大阪でお好み焼き屋をしていたが、司馬遼太郎との交友を通して画家須田剋太と知り会い、その後作品を集めることになった。後に司馬&須田は「街道を行く」のコンビで有名になった。
又、人間国宝で陶芸家の島岡達三とも交友関係にあった大島館長は、彼の作品も一緒に展示している。
飾らない館長の人柄、ダイナミックさが多くの芸術家から好かれたのかな・・・と思う。
壺は100年前にキムチを漬けていたもの、基礎や階段は美瑛軟石、玄関の敷石は二風谷村から運んだもの、家具は百年前の韓国の・・・と話がどんどん広がっている。

大島館長は、司馬さんが小説にしたい・・・と言ったくらいユニークで、波乱万丈の生き方をしている。
美瑛の丘に魅せられてこの地を選んだ館長は、高山植物をコツコツ手植えして美しい庭を造っている。

美術館の3階からの眺めは、壁一面がガラス張りで風景画一幅の絵になり、座って眺めていると時間を忘れてしまう。
地元でもあまり知られていないのが残念だ。館長は「僕は大金持ちに見たられるが、決してそうではなく須田さんや島岡さんの芸術に魅せられてこんなことになっちゃいました。借金はいっぱいあるが、全然怖くない。」と笑って話している。
一見の価値がある場所だ。